金とプラチナについては、これまでいくつか記事を書いてきました。今回は銀(シルバー)です。
正直に言うと、銀はお客様の期待と査定額の差がいちばん大きい金属です。
「シルバーだから、そこそこの値段はつくだろう」と思って持ち込まれ、金額を聞いて驚かれる。
査定の現場で何度も見てきた場面です。
だからこそ、先に本当のところをお伝えしておきたいと思います。
この記事では、銀の刻印の読み方と、銀が査定でどう扱われるのかを、期待値を上げも下げもせずに書きます。
この記事でわかること
- 銀の刻印一覧(925・950・999・STERLING)の意味
- 「SILVER」としか書いていない品物の扱い
- 「洋銀」「ニッケルシルバー」は銀ではないという重要な誤解
- 銀と金の単価が「桁違い」である現実
- それでも査定に出す価値があるケース
1.銀の刻印は「数字があるかどうか」で見る
まず全体像です。銀の刻印は、大きく2つのグループに分かれます。
銀の刻印 早見表
| 刻印 | 意味・素材 | 査定での扱いと、次にすること |
|---|---|---|
| 数字がある ― 銀として評価する土台がある | ||
| 999 / 1000 | 純銀 | 金額は基本的に重さで決まります(有名メーカー品・銀貨は別の評価が乗ることがあります) |
| 950 | 銀95% | 同上。925より柔らかい |
| 925 / STERLING | 銀92.5% | 同上。アクセサリーの大半がこれです |
| 900 | 銀90% | 同上。コインシルバーとも呼ばれます |
| 数字がない ― 銀とは限らない | ||
| SILVER のみ | 純度の表示がない | 決めつけずに現物を検査します。自己判断で処分しないでください |
| 洋銀 / 洋白 / NS | 銀を含まない合金 | 銀としては評価できません。銀の重さでは金額になりません |
| EPNS | 洋白に銀メッキ | 同上 |
| 刻印なし | 判断材料が刻印にない | 現物の検査で判別できます。まとめて見てもらうのが確実です |
925・950・999・900以外の数字は、純度ではないことがあります(年号やサイズなど)。
見分け方はシンプルで、純度を示す3桁の数字があるかどうかです。
925・950・999といった数字は、千分率で銀の含有量を示しています。
この数字があれば、銀として評価する土台があります。
2.いちばん多いのは「925」と「STERLING」
持ち込まれる銀製品のほとんどが、この刻印です。

当社で査定したペンダントの裏面です。中央下に「925 S」と読めます。この3桁の数字が、銀として評価する土台になります。
もうひとつ見ていただきたいのが、その上の「2001」です。
これは純度ではなく、ジョージ・ジェンセンが年ごとのモデルに入れている年号です。
刻印されている数字が、すべて純度を表しているわけではありません。
925・950・999といった「銀の純度としてあり得る数字」かどうかで見てください。
銀として評価される刻印
| 刻印 | 銀の割合と、よく使われる場面 |
|---|---|
| 925 / STERLING(スターリング) | 銀92.5%。世界的な標準規格で、アクセサリーの大半がこれです |
| 950 | 銀95%。925より柔らかいため、装飾性の高いものに使われます |
| 999 / 1000 | 純銀。銀の延べ棒(インゴット)や記念品に多い表記です |
| 900 | 銀90%。コインシルバーとも呼ばれ、古い銀貨や食器に見られます |
刻印されている数字が、すべて純度を表しているわけではありません。925・950・999といった「銀の純度としてあり得る数字」かどうかで見てください。
なぜ純銀(999)ではなく925が主流なのか
純度100%に近い銀は柔らかすぎて変形してしまうためです。銅などを7.5%混ぜて強度を出したものが925(スターリングシルバー)です。金のK18が純金より扱いやすいのと同じ理屈です。
金の刻印の考え方については、こちらで詳しく解説しています → 「K18」と「18K」は違う?金の刻印の読み方と見分け方【早見表つき】
銀の刻印は、この順番で見ます
3.「SILVER」とだけ書いてある場合
ここからが注意点です。「SILVER」という文字はあるのに、数字がない。この刻印はよく持ち込まれます。
この場合、純度が表示されていないということになります。
銀が含まれていても純度が低いもの、あるいは銀メッキで表面だけ銀というものが混ざります。
数字の刻印がある製品と同じ扱いにはできません。
とはいえ、「SILVER」だから価値がない、と決めつけるのも違います。刻印は手がかりであって証明ではありません。実際には現物を検査して判断します。自己判断で処分してしまう前に、一度見せていただくのが確実です。
4.「洋銀」「ニッケルシルバー」は銀ではありません
これはぜひ知っておいていただきたい点です。名前に「銀」「シルバー」と入っているのに、銀をまったく含まない素材があります。
名前に「銀」が入っていても、銀ではないもの
| 表示 | 中身 |
|---|---|
| 洋銀 / 洋白 / NS(ニッケルシルバー) | 銅・ニッケル・亜鉛の合金です。銀色をしていますが、銀は入っていません |
| EPNS | 「Electro Plated Nickel Silver」の略。洋白の土台に銀メッキを施したものです。表面だけが銀になります |
金の世界で「GP」「GF」が金メッキ・金張りを意味するのと、まったく同じ構造です。表面の素材と、中身の素材は別だということです。
洋銀は、古い食器やカトラリー、トロフィー、楽器の部品などによく使われています。
「祖父の代からある銀食器」として大切にされてきたものが、実は洋銀だった——というのは、めずらしい話ではありません。
メッキの考え方は金と同じです
金の世界で「GP」「GF」が金メッキ・金張りを意味するのと、まったく同じ構造です。表面の素材と、中身の素材は別だということです。
金メッキの刻印については、こちらにまとめています → 「K18GP」は金として売れる?金メッキ・金張りの刻印一覧と見分け方
5.正直に言うと、銀は金と単価が桁違いです
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

同じ1グラムでも、銀は金と比べて何十分の一という水準になります。
これは業者による違いではなく、金属そのものの相場の差です。
どこに持ち込んでも、この前提は変わりません。
つまり、銀のアクセサリー1点や2点では、金額としてはどうしても小さくなります。
指輪1つ、ネックレス1本という単位だと、期待していた金額には届かないことがほとんどです。

実際に量ってみるとこうです。
ペンダントとチェーンを合わせて11.1g。
手に持つとそれなりの存在感がありますが、銀の地金として計算すると、この重さでも金額はごく小さくなります。
先ほどの単価の差が、そのまま効いてくるからです。
これを先にお伝えせずに査定額だけ言うと、お客様は「安く買い叩かれた」と感じられます。でも実際は相場がそうだからなんです。だから私は、銀の品物を出されたとき、金額の前に単価の話をするようにしています。
広告1点だけか、まとまっているかで、出し方が変わります
| いまの状況 | 査定士から見た向き不向き | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 銀器・箱ごと・引き出しごと重量がまとまる/運べない | 食器・トレー・燭台は1点で数百グラム以上あります。単価が低くても重量がまとまれば金額として成立しますが、運ぶのが大変な重さです。自宅で見てもらえば運び出さずに済みます。 | ウリエルの食器の出張買取を見るカトラリーも対象。査定料・出張費用・キャンセル料は無料と公式に記載 |
| 有名メーカーの銀製品が数点製品としての評価も聞きたい | 銀としての価値に加えて、製品としての評価が乗ることがあります。持ち込めば、地金としていくら・製品としていくら、という内訳を目の前で聞けます。 | 店頭買取の予約を見る1947年創業の実店舗。来店予約(無料・約1分)に対応し、「事前のご予約で優先的にご案内」と公式に記載 |
※上の欄は広告です。銀の単価が金と桁違いに低いのは、業者による違いではなく金属そのものの相場の差です。どこに持ち込んでも、この前提は変わりません。 買取価格は品物・状態・時期で変わるため、金額の優劣を示すものではありません。(2026年8月時点/条件は各社の案内をご確認ください)
6.それでも査定に出す価値があるケース
では銀は出すだけ無駄なのかというと、そんなことはありません。次のような場合は、きちんと意味があります。
それでも査定に出す価値があるケース
| どんな場合か | なぜ意味があるか |
|---|---|
| 重量のある銀器 | 食器・トレー・燭台・花瓶などは、1点で数百グラム以上あります。単価が低くても、重量がまとまれば金額として成立します |
| まとまった点数がある | アクセサリー1点では小さくても、引き出し1つ分あれば話が変わります |
| 有名メーカーの銀製品 | 銀としての価値に加えて、製品としての評価が乗ることがあります |
| 銀貨・記念硬貨 | 地金としてではなく、収集対象として評価される場合があります |
| 金やプラチナが混ざっている可能性 | 「全部銀だと思っていた箱の中に、金の指輪が入っていた」というのは実際によくあります |
「これは銀だから」と自分で分けてしまうと、混ざっている金やプラチナごと外してしまうことになります。

3枚目は、さきほどの「925」「11.1g」と同じ品物の表側です。
銀の重さだけで計算すれば、この1本は数千円にも届きません。
それでもこの品はジョージ・ジェンセンというブランドの製品なので、状態が保たれていれば、銀の地金相場とは別の基準で評価されることがあります。
差額は、銀という金属ではなく製品としての評価です。上の一覧に挙げた「有名メーカーの銀製品」とは、まさにこういう品物のことです。
※金額は品物の状態・相場・時期によって変わります。同じ刻印・同じ重さでも同額になるとは限りません。
有名メーカーの銀製品は、ジュエリーとして見てもらえます
上のジョージ・ジェンセンのように、有名メーカーの銀製品は銀の重さとは別の基準で評価されることがあります。コメ兵は買取カテゴリに「ジュエリー」「金・貴金属」を挙げていて、店頭なら目の前で見てもらえます。
画像:A8.net で提供されているコメ兵の公式バナー
| 買取方法 | 店頭買取(「1分で予約完了 来店予約する」)・宅配買取・出張買取。全国205ヶ所 |
|---|---|
| 費用 | 「買取に手数料は掛かりますか? 店頭買取、宅配買取共に手数料は一切かかりません。」 |
| 許可番号 | 愛知県公安委員会許可 第541162007700号 |
仕分けはしないでください
一覧の最後に挙げた「金やプラチナが混ざっている可能性」が理由です。「これは銀だから」と自分で分けてしまうと、混ざっている金やプラチナごと外してしまうことになります。箱ごと、引き出しごとお持ちいただくのがいちばん確実です。
7.黒ずんだ銀を、自分で磨くべきか
銀は空気中の硫黄分と反応して、表面が黒ずんでいきます。金やプラチナがほとんど変色しないのに対し、これは銀特有の性質です。
「汚いまま出すのは失礼かな」と磨いてから持ってこられる方がいますが、磨かなくて大丈夫です。理由は2つあります。
黒ずんだ銀を、自分で磨かないほうがいい理由
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 削ると目減りします | 銀は柔らかいので、研磨剤で削ると重量が減ります。重量で評価する以上、削ることは減らすことです |
| いぶし加工が意図的なことがあります | アンティークの銀器では、装飾の凹んだ部分をあえて黒く残す仕上げがあります。ここを磨いてしまうと、製品としての評価が下がることがあります |
どちらも「削らない」という一点に集約されます。
地金として評価する場合、変色自体はマイナス材料になりません。
そのままお持ちください。
この「自分で手を加えないほうがいい」という考え方は、時計やブランドジュエリーでも同じです。
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銀は1点だけだと少額になりがちです。ほかに出せるものがないか、一度まとめて確認してみてください。品目ごとに写真と図で仕分けした一覧を用意しています。
まとめ
- 銀の刻印は3桁の数字があるかどうかで見る。925 / 950 / 999 / 900
- 「SILVER」だけの表示は純度が保証されていない。ただし決めつけずに検査する
- 「洋銀」「ニッケルシルバー」「EPNS」は銀ではない
- 銀の単価は金と桁違いに低い。これは業者の差ではなく相場の差
- ただし重量のある銀器・まとまった点数なら意味がある
- 自分で仕分けない・磨かない。混ざっている金を外してしまうのがいちばんの損
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この記事の結論
よくある質問
Q. 「SILVER」としか刻印がないアクセサリーでも見てもらえますか?
A. 見てもらえます。刻印は手がかりであって証明ではないため、最終的には現物の検査で判断します。数字がないという理由だけで自己判断せず、他の品物と一緒にお出しください。
Q. 銀の食器やトレーは買取してもらえますか?
A. 対応している業者であれば可能です。銀器は1点あたりの重量が大きいため、アクセサリーよりも金額になりやすい分類です。ただし洋銀・EPNSの場合は銀としての評価にならないため、刻印を確認してもらってください。
Q. 黒く変色していると査定額は下がりますか?
A. 地金として評価する場合、変色はマイナス材料になりません。銀の性質による自然な現象だからです。むしろ研磨剤で磨くと目減りするため、そのままお持ちいただくのをおすすめします。
Q. 刻印がまったくない銀色の品物はどうなりますか?
A. 刻印がなくても検査で判別できます。銀なのか、洋銀なのか、あるいはステンレスやアルミなのか。見た目だけでは判断が難しい素材なので、まとめて見てもらうのが確実です。
何社も回る必要はありません
品物によって、出す先が違います
銀は1点だけだと少額になりがちです。ほかに出せるものがないか、一度まとめて確認してみてください。銀だけをお持ちになる方は少なく、たいていは金やプラチナの品物と一緒に出てきます。
金やプラチナと一緒に見てもらえるところを、住んでいる場所で選べるように3つ挙げておきます。
※各社が公式サイトで取り扱いを明記している品目にもとづいて挙げています(2026年9月時点/条件は変更される場合があります)。同じ品目を扱う会社は他にもあります。ここでは当サイトが提携していて、取り扱いを公式に確認できた先を挙げています。
買取価格は品物・状態・時期で変わるため、金額の優劣を示すものではありません。
この記事を書いた人: イニカ
買取業界歴11年・査定件数1万件超の現役バイヤー。金・貴金属と高級時計の査定が専門。実際の査定経験に基づいて、買取の仕組みをわかりやすく解説しています。
本記事の内容は執筆時点(2026年7月28日)の情報と筆者の実務経験に基づきます。地金相場は日々変動します。個別の品物の価値を保証するものではありません。


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